11月2日2:00、旭川。イチイに雪。

故人が愛したもの。

きのうの朝、私は慌ただしく出入りする人の気配で目を覚ました。故人は盆栽を大切にしており、大金を積むといわれても譲ることはなかった。そのいわくつきの盆栽が深夜の雪で折れ、残された者たちは故人の気持を慮っては悔やんだ。主のいない盆栽はそれでも数十年慈しまれ生きてきて、また緩慢に滅び続ける。