11月2日2:00、旭川。紫陽花に雪。

花に雪が降るのを恐れていたこと。

北海道に降り立つと、温室育ちのハイビスカスが咲いていた。次の日には雪虫がその葉に翅を休めているのを見つけて憂鬱な気分になった憶えがある。せっかく咲いたのに雪…馴染みのない場所に花を咲かせてしまったことに不毛なものを感じ、愚かしいように思ったし、霜が荒らした花弁の染みは、気候に逆らう報いのようにさえ思われた。また、この場所にある多様な植物が、どれも季語にはそぐわないように思われ、それを恥じた。しばらく経ってはじめて、動植物の北限線は複数あるのだし、人が通る路ならばもっと北、のみならず各方面へと開かれていたということを肯定的に意識するようになった。その先まで行ってみたいと地図を眺めたり本を読んだり。雪は、降ってしまえば楽しい。犬がよく駆けるし、最後の葡萄は冷気のために甘くなった。ハイビスカスは、冬眠。

それにしても、まだ雪囲いをしていないのに、着々と積もっている。このままではさらなる被害が…。

夕方。

鈴木久雄展をまた見に行く。もうすぐ終わってしまうのだけれど、まだ見たりないように思う。